第17回 改善

 今回はPDCAサイクルの最後にあたるActionに該当する改善を考察したいと思います。この項目も基本的な構成はISO9001とISO14001と大きな違いはないので同時に考察します。まず現行版との構造の比較ですが、「不適合及び是正処置」に関する項と「継続的改善」の項に大きく分類されるところは変わりません。個別の要求事項も一見すると大きな変更がないように見えますが、リスク分析や企業戦略との合一性を重視した改正の趣旨を体現したものとして以下の変更点があります。

(1)予防処置がなくなる

文面上、明らかに変わったのはISO9001:2008の8.5.3項のような予防処置の要求事項がなくなったことです。2015年版は、予防処置に該当する活動は計画段階で行うことになります。また、現行版の運用では、同業者や関連会社の是正処置を参考にして予防処置とする組織が多く見られますが、このような水平展開は是正処置にの一部であることを明確にしています。

(2)優先順位をつけた改善への取組み
改善には、再発防止を主眼とする是正処置だけでなく、閉塞状態を打破するブレークスルーを志向するもの、組織の再編成など、多様な形態が考えられます。これらは、組織を現状よりよくするものである限り全て改善ということになります。改善するべき事項を数多く抽出することは大切なことですが、外部環境に照らして緊急性や重要度の高いものを後回しにして、影響・効果の少ない改善だけを形式的に実施することは好ましい状態ではありません。2015年版では、継続的改善を実施するに当たって、多くの改善の機会を意識して探すとともに、実施すべき改善を評価し、優先順位をつけ、決定することを求めています。内外の環境の分析によって課題を抽出し、組織が今取組むべき改善事項を意識することで、マネジメントシステムが一層企業戦略に近いものとなります。

(次回更新予定 2014年8月20日頃)


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