第12回 計画

カムイブレインスコンサルタント株式会社

2014年05月12日 12:05

今回は、改訂版要求事項の6項、計画について考察したいと思います。改訂版の要求事項の配列構成は、PDCAの流れに沿っていることは以前紹介したとおりですが、具体的には、6項.計画(PLAN)、8項、運用(DO)、9項.パフォーマンス評価(CHECK)、10項.改善(ACTION)となっています。6項もISO9001とISO14001で基本的な構成は異なりませんが、ISO14001独特の要求事項である環境側面があるなど、前回まで紹介した4項や5項に比べて、両者の相違点が若干見られます。

まず、要求事項のタイトルを見ていきます。(下図参照)


6.1「リスク及び機会への取組み」で、リスクと機会を特定し、それに対する取組みを定めることを求めています。次に6.2「品質(環境)目的及びそれを達成するための計画策定」で取組みに対する計画を立てることを求めています。さらにISO9001では、6.3「変更の計画」で、進捗に応じて変更が必要になる場合を想定し、計画をすることが求められています。ISO9001に変更の計画が特に要求されたのは、環境マネジメントシステムに比べて、品質マネジメントシステムのほうが顧客ニーズや市場変化による変化が激しく、計画の変更条件が曖昧であると進捗管理が進まなくなるという運用上の問題を考慮したものと言えます。

主な変更点をまとめると下記のようになります。
①リスクと機会の特定が求められるようになったこと
②計画を実現するための計画が達成計画となったこと

(1)リスクと機会の特定
ISO9001では、予防処置やデータの分析の要求事項を効果的に活用していないといった運用状の問題がありました。このため、組織の抱えるリスクや機会が品質計目標や計画に反映されていないケースが頻繁に見られ、形骸化を招く要因となっています。改訂版では、このような問題を解決するために、従来のデータ分析や予防処置による組織の裁量で定められたリスクや機会の特定を明文化しました。一方ISO14001では、環境側面の考察に当たってリスクや機会を抽出しているので、この点では改訂版と大きな相違はありません。但し製品のライフサイクルを観点に入れることを求められるようになりました。

(2)実現を確実にするための達成計画
方針実現に向けた目標と計画を策定することは従来と異なりません。しかし、改訂版では、達成計画と明記し、実施事項、必要な資源、責任者、達成期限、結果の評価方法などを明らかにすることを求めています。従来、計画の具体的な策定方法は組織の裁量に委ねる部分が大きく、更新審査のための曖昧な計画を策定する組織も少なからず見られました。このような問題を踏まえ、計画は達成することが前提であることを明らかにし、計画の内容にの具体性を求めるようになりました。改訂版が計画を重要視していることを示唆していると言えます。

(次回更新予定 2014年5月28日頃)

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