第19回 環境マネジメントシステムの背景①

カムイブレインスコンサルタント株式会社

2014年09月29日 10:46

今回は、環境マネジメントシステムの改定の背景について考察したいと思います。ISO9001は、派生するマネジメントシステムの基本となっており、要求事項の本質的な部分は大きくは変わりません。これに対してISO14001は、時代の流れや法整備に合わせて、新たな概念や解釈の拡大が求められるところに大きな特色があります。ISO14001が、世界各国が共通して取組むべき地球環境問題への対応ツールである以上、これは当然のことと言えます。要求事項を単純に読み込めば、環境側面を特定し、著しい環境側面を決定し、それを管理するシステムを構築すればよいのですが、環境側面を特定するにあたって、考慮するべき概念は要求事項には多くは記載されていません。従って環境マネジメントシステムを構築する際は、適用される法規制や輸出先の基準を把握しなくてはいけません。このとき大事なことは、基準の理解でよしとするのではなく、そのような法規制や基準が設けられた背景を理解することです。

1.対症療法から予防処置へ
1992年の地球サミットで地球環境問題が人類共通の課題であることのコンセンサスを得たことを契機に、各国が地球環境問題に対する具体的な取組みをするための法整備が進みました。日本でも、1993年にそれまでの公害対策基本法に変わり、環境基本法が制定されました。公害問題は、その性質上、公害が発生してから対処する側面が強く、加害者である生産者を規制するものになりがちでしたが、環境基本法は、対症療法だけでなく予防処置の側面を重要視しています。背景には大きな環境問題が発生する前に、その原因を除去・軽減しようとする考え方があり、必然的に特定の生産者の規制から、原因を発生させる可能性のある全ての組織・人への規制となります。ISO14001の要求事項での環境側面の特定や著しい環境側面の管理は、この考え方が根底にあるのです。

2.循環型社会形成推進基本法
ISO14001の第1版が発行されて4年後の2000年には、循環型社会形成推進基本法が制定されました。この法律は、リサイクルの促進と廃棄物の適正な管理を徹底を目指すものであり、根底にあるものは持続可能な開発です。この考え方は第2版が発行された2004年には、広く浸透されており、以降の環境マネジメントシステムの構築にも不可欠な要素となっています。

このように、環境マネジメントシステムの発行・改定の前後には重要な法律が制定されており、環境マネジメントシステムの解釈に不可欠の要素となっています。

(次回更新予定 2014年10月28日頃)

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