第11回 リーダーシップ

今回は、改訂版要求事項の5項、リーダーシップについて考察したいと思います。前回考察した4項同様に、5項もISO9001とISO14001で基本的な構成は変わらないため、同時に考察したいと思います。

要求事項のタイトルは下図のとおりです。即ち、5.1リーダーシップ及びコミットメント、5.2方針、5.3組織の役割・責任及び権限です。このうち、5.2と5.3は現行の要求事項で求められる方針や責任・権限と大きく異なるものはありません。5.3の組織の役割・責任及び権限の項目に該当しそうな管理責任者についての要求事項から「管理責任者」という言葉が見られなくなったくらいです。
第11回 リーダーシップ

一見すると要求事項の配列が変わったくらいに見えますが、5.1項を中心に変更されたものもあります。主な変更は下記の2点にまとめられます。

①リーダーシップが適用される階層
②企業戦略や組織事業との統合

(1)各部門の責任者にもリーダーシップを確立する
5項のタイトルは、現行版では、「経営者の責任」となっていますが、改訂版では「リーダーシップ」となっており、タイトルからは経営者という文言がなくなっています。これは経営者の役割が軽減したことを意味するのではありません。マネジメントシステムを推進していくためには、トップマネジメントが積極的に関与することが不可欠なことは論を待たないところです。しかし、トップの方針が組織全体に浸透していくためには、各部門の責任者に負うところが大きいのです。そこで改訂版では、ともすればトップマネジメントだけに適用されがちになるリーダーシップを各部門の責任者にも確立することを求めるようになりました。

(2)組織事業とMSの統合
5.1項は、リーダーシップとコミットメントを要求しています。ここで求められるものは、方針・目的の確立、方針の理解とフォロー、必要な資源を利用可能にすること、成果を達成することを確実にすること、人々の雇用・指揮・支援、改善と革新の促進等です。現行版の5.経営者の責任と6.資源の運用管理をトップマネジメントの役割で再構築したような構成となっています。ここで重要になるのが、企業戦略や組織の事業とMSの統合を求めていることです。今回の改訂の主旨の一つである企業の戦略とMSの一致はこの項で具体的に明らかになりました。改定の意図を理解して実践すればISOの審査のためだけの目標や計画というものはなくなり、企業マネジメントで使う目標管理や計画がそのままISOの要求事項に活かせるようになるはずです。
尚、ISO9001では、5.1.1項で品質マネジメントシステムに関するリーダーシップとコミットメントを、5.1.2で顧客のニーズと期待に関するリーダーシップとコミットメントと分かれています。ISO9001では、顧客重視の方針を明らかにするため、2つの要求事項に分けたものと考えます。


(次回更新予定 2014年5月12日頃)


同じカテゴリー(ISO9001)の記事
第17回 改善
第17回 改善(2014-07-29 14:02)

上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。

写真一覧をみる

削除
第11回 リーダーシップ
    コメント(0)