第13回 支援

今回は、改訂版要求事項の7項、支援について考察したいと思います。支援プロセスも典型的なHLS(ハイレベルストラクチャー)であり、MSである以上、基本的に異なることはありません。このため、ISO9001とISO14001は同一の基本構成をとっています。改訂版の要求事項のタイトルは以下のようになっています。
第13回 支援
一見すると現行のISO9001の要求事項6項の資源に4項の文書管理の要求事項を合わせたような構成になっています。しかし、細かな点をみると、趣旨は変わらないものの、配列や記載の仕方に変化があり、要求事項の改定の趣旨を読み解くことが出来ます。変更が顕著に見られるものを以下に提示します。 

(1)資源に「知識」が求められる
7.1項は資源についての要求事項です。現行版では、資源とは、人、インフラ、作業環境とされており、MS実践にあたって、必要不可欠な資源を揃えることが求められていますが、改訂版では、これに加えて「知識」を求められるようになりました。ここでの知識は、MS運用にあたって必要な知識だけではなく、組織を取り巻く環境やニーズの変化に対応するために必要な知識を追加することまで求めています。現状維持だけではなく変化に対する柔軟性を重要視する改定の趣旨が表れています。

(2)「認識」が独立した項目に
 従来、ISOの人的資源の考え方では、必要とされる「力量」を明らかにし、これを満たさない場合「教育・訓練」を実施し、力量を得た作業者は「認識」をもって業務に就くことを求めていました。このうち、「認識」は重要な要素でありながら、具体的な対応が明らかでなく、ともすれば形式的な要求事項になっていた感が否めませんでした。改訂版では、7.3項に認識を独立させています。従来の自身の作業による結果の認識はもちろんのこと、品質、環境方針や目標の認識も含ませることで、マネジメント上の重用性を明確にしています。

(3)文書化された情報
 現行の要求事項では、文書と記録の「作成」は1つの要求事項で表していますが、「管理」については文書と記録で分けて別々の要求項目にしています。改訂版では、文書も記録も「文書化された情報」という一つの項目にまとめています。一見すると簡略化されたようにも見えますが、現行版で求められている趣旨は削除されていません。また、ソフトウェアの版やアクセス管理にも言及するなど、文書のデータ化や情報の保護といった今日的な文書管理を意識した内容となっています。

(次回更新予定 2014年6月10日頃)


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