前回に引き続きSWOT分析を考察したいと思います。SWOT分析では、情報の漏れや偏りがないこと、特に自社がターゲットとする顧客のライフスタイルの変化を見落とさないことを解説しました。今回は把握した情報を整理して方向性を見出す方法です。
SWOT分析は情報を整理するのに便利なツールです。しかし、これだけではただの整理表を作成したにすぎません。例えるなら地図を作成して眺めているだけの状態です。大切なのは、現状の状態を理解した上でどの方向に行くべきかを決めることであり、これが企業戦略の元となります。SWOT分析を利用した方向性は主に弱みを強みに向けるか、強みをさらに伸ばすかです。その契機や追い風になるのが機会や脅威ということになります。具体的には以下のように類型できます。
①機会を追い風にして強みを伸ばす
②機会を追い風にして弱みをなくす
③強みを活かして脅威に対抗する
④弱みが脅威によって拡大する前に抜本的な対策を立てる
①や②のように機会を追い風とすることを戦略とした場合、機会を最大限利用するために何をするべきか施策を決めることが戦術となります。消費者のニーズや、技術の流れが自社の味方になっているのであれば、他社と比べて優れた点を市場へ訴求することに注力すれば自ずと結果はついてきます。この場合、拡大路線を通ることが多いので、どのくらい拡大すれば目標が達成できるのか到達点を決めておくことも重要です。また、競合他社が強みを模倣することが出来る場合は、他社が参入してこないうちに成果を出さなくてはいけないためスピードも要求されます。
次に脅威への対抗を検討します。脅威には、消費者の嗜好の変化、強力な競合他社の参入、材料など費用の高騰、法律の改正による自社に不利な影響、技術の変化などが考えられます。これらの脅威に対して、③のように強みで対抗できる場合は、対抗策を検討することになります。特殊なニーズへの集中投資、強みを活かせるカテゴリーの創出などです。この場合着眼点は、脅威の流れを受けつつも、その影響が少ない新たなニーズを創出することです。例えば、少子化の流れを受ければ、子供を対象とした産業は必ず影響を受けます。もし、自社の強みが製品の質の高さであれば、子供への投資を惜しまない購買層を創出し、高級志向の製品に特化するといった戦略などが考えられます。深刻なのは④の場合です。元々弱点とされていたことがさらに脅威によって深刻な打撃を受けるわけですから、状況によっては業種の変換を余儀なくされることも考えられます。強みが脅威によって消滅する時もこのケースに該当します。既存路線に対する見切りのタイミングや、それに変わる新たな収益源を創出することが遅れれば、最終的には淘汰されてしまいます。④のようなケースは、個別企業の努力だけでは対抗しきれない面もありますが、脅威をなるべく早く捉えることによって対応策を実施する時間を増やすことは可能です。企業にとってリスクの把握がいかに重要であるかがわかると思います。
次回は把握した情報をどのように戦略に結びつけるかを検討したいと思います。
(次回更新予定 2014年3月3日頃)
Posted by カムイブレインスコンサルタント株式会社