今回は、2015年改定に向けた対策のスケジュールについて考察します。2015年改定までのスケジュールは下表のようになっています。現在2014年の3月ですが、ISO9001、ISO14001ともCD(委員会原案)2が出ている状況です。
改定の動向を注視することは必要ですが、CD(委員会原案)はあくまで原案であり、今後も修正される可能性が高いものです。このため、この段階で、要求事項の細部まで調べて書式等の変更に備えるのは得策ではありません。とはいっても、ISO事務局担当者の立場になれば、なるべく早い段階から対応して、文書改定などの業務量が集中しないようにしたいというのが本音でしょう。改定前からなるべく早く対応したいのであれば、一つの目安としてFDIS(最終国際規格)が出た時点で対応することを勧めます。この段階までくれば、改定された国際規格と殆ど変わらないものになっているからです。
2015年改定のような大きな改定の場合、FDIS(最終国際規格)発行までに以下の取り組みをしておく必要があります。
①改正の趣旨を理解する
②現在の要求事項の趣旨や運用上の問題を理解する
③体制の構築
④人材の育成
まず改定の大きな趣旨を理解することが先決です。これについては、既にこのコラムでも紹介したとおりです。次に現在の要求事項が、自社にどれくらい浸透しているかを確認する必要があります。現在の要求事項がどのような目的を持っているか、運用に当たっての問題などを把握していなければ、2015年改訂版との違いがわからないからです。③の体制の構築ですが、例えば、ISOと企業戦略の一体化という改正の趣旨を理解したとしても、長年ISOと企業戦略を別物と捉えて複数の管理ツールを運用してきた企業が、数ヶ月で変わることは至難の業です。このような体制の変革については現段階から取組んでおくことを勧めます。④の人材の育成ですが、文書類の改定などの業務は、ある程度短期間に集中して行うことになりますが、特定の担当者に業務が集中すると、対応が遅くなったり、不完全なものとなりがちです。現在事務局担当者の人材が不足している組織や、事務局担当者の要求事項の知識が不足する場合、現在の要求事項を再確認したり社内講習会をすることで、人材の拡充を図るべきです。このような取り組みが改定業務のスムーズな実践に繋がると考えます。
(次回更新予定 2014年3月17日頃)