製茶会社が大手メーカー、流通小売店との取引を継続するために知っておくべきこと②

「茶衛生管理」「食品マネジメントシステム」のカムイブレインスコンサルタント
http://www.kamui-brains.com/


 前回(①)に続いて、
 「3.認証制度の選別」
 「4.食品安全のマネジメントシステムに求められること」
 「5.FSSC22000の登場」
についてお伝えします。


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(前回続きより)

3.認証制度の選別

 このような経緯から、多くの食品工場では日常の安全・安心に向けた活動に取り組むだけでなく、これを販売先に評価してもらうために、何らかの認証を受けていることが一般的になってきました。

 しかし、食品工場の認証制度は、目的や運営団体、業界によって異なり、その種類も多く、なかには今日の水準に準拠できていないものもあるため、認証制度自体の選別が求められるようになりました。

 このような流れは、食品の国際流通に大きな影響を持つGFSIが食品安全確保のための承認規格を掲げ、サプライチェーン全体での活用を求めたことで、より明確になりました。

  GFSI:
   「国際食品安全イニシアチブ」の略称で、国際的な食品業界のネットワーク
   である。運営は、コカ・コーラやウォルマート、国内ではイオンや味の素など
   世界約650社が構成する「CGF」が担っている。



4.食品安全マネジメントシステムに求められること

 製品の販路がグローバルに展開する今日では、食品安全のシステムにも世界共通の項目が見られるようになりました。
 
 具体的には、
 食品安全マネジメントシステムがあること
 HACCPシステムを運用していること
 適正な製造規範を有していること
がこれに該当します。

 これらの項目は、同時に登場したものではなく、時代の潮流や新たなハザードに対する脅威によって形成されてきたものであり、今後も変遷していくものです。

 日本の食品工場では、以前からある程度の製造規範を持っていました。

 ここにHACCP手法が導入され、さらにISO9001の普及によりマネジメントシステムを導入していったという経緯があります。

 そして、2005年に、食品安全の技術手法として確立されたHACCPとISO9001のマネジメント機能を併せ持つ規格としてISO22000が登場し、今日の食品安全マネジメントシステムのスタンダードとして定着してきています。


5.FSSC22000の登場

 FSSC22000とは、ISO22000に適正製造規範を具体化したPAS220を組み合わせて構成された規格です。

 GFSIが食品安全確保の承認規格の1つとしていることもあり、大手メーカーがサプライヤーへ認証取得を要請する動きが進んでおり、国内にも急速に拡がっています。

 日本の食品工場は、すでにISO9001やISO22000を認証している企業が多いため、FSSC22000は最も取り組みやすいGFSI承認規格といえます。

 また、2011年に制定された米国食品安全強化法(FSMA)では、HACCP手法の運用とマネジメント要素が求められており、アメリカへの輸出を考える場合、FSSC22000やISO22000の認証取得が役に立つ可能性が高いといえます。

 FSSC22000の登場によって、ISO22000認証取得企業にも新たな動きが見え始めました。

 両者の違いは、大きくいえばPAS220を要求事項として扱う(FSSC22000)か、参照規定として扱うか(ISO22000)です。

 要求事項として扱う場合、適合していなければ原則不適合となります。
(実務上では、効果的な代替手段で、ある程度対応できます)

 このため、設備面やマネジメントシステムに不安を感じる企業が自社の現状にあった食品安全マネジメントシステムを構築するために、FSSC22000の認証取得を考えるケースが増えているといえます。

  PAS220:
   食品製造で、食品が安全であるための前提条件について規格化された
   もので、ISO22000とともに使用することを意図しているもの
   である。



★次回(最終回)は、
 「これから認証を取得する場合」
 「顧客選別のパスポート」 についてです。★


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【著者】 浅田 泰晴
   (カムイブレインスコンサルタント㈱チーフコンサルタント)製茶会社が大手メーカー、流通小売店との取引を継続するために知っておくべきこと②

 静岡県茶業会議所でのお茶衛生管理の講演や静岡県の食品農水産物認証制度、さらに地産地消の公的業務など、お茶を中心とした数多くの食品関連の事業に参画する。

 民間企業では、食品工場での品質マネジメントシステムISO9001、食品安全のマネジメントシステムISO22000・FSSC22000の認証取得への支援も行っており、認証機関における審査活動にも従事している。

 静岡県を中心に東海地方でみてもトップクラスの実績を持つコンサルタントである。

〈主な実績〉
 公的機関:T-GAP制度構築への参画(平成21年~継続中)
        静岡県茶業会議所衛生管理講演
        宮崎県茶推進委員会衛生管理講演 ほか
 民間企業:ISO9001・ISO22000・FSSC22000認証取得支援
        三盛茶製造㈱様(静岡県榛原郡吉田町)
        ㈲鈴木養鶏場様(愛知県新城市)
        中根製茶㈱様(静岡県掛川市)
        日研フード㈱様(静岡県袋井市) ほか(9社支援中)
       →弊社ホームページにて、4社様のインタビューをご覧いただけます。
        http://www.kamui-brains.com/information/interview/

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