今後求められる食品安全と
FSSC22000の活用 vol.5
カムイブレインスコンサルタント㈱
チーフコンサルタント 浅田 泰晴
5.安全性を証明し自社製品を守るツールとしての機能②
~ 何となく安全が通用しなくなる ~
しかし、この流れは東日本大震災により一転します。日本製品は、それだけで汚染の危険があると疑われるようになり、海外市場から締め出されるようになりました。現在、国を挙げて安全性の証明に全力を尽くしていますが、海外取引では何よりも自国民の保護が最優先されますから、少しでも安全性に疑いを持たれた場合は受入れを拒否されます。これは放射能汚染という具体的な危険が発生している以上、やむを得ない面もあります。しかし、ここでさらに被害を拡大しているのは風評被害です。安全性に疑いがあることと風評被害とは異なります。前者は、製品が手元に届くまでのどこかの段階で汚染物質と接触した可能性がある、あるいは何らかの不手際で除去されなければならない菌等が除去されていない可能性があるという具合に、汚染源との接触や工程上の不良の可能性があることが前提です。これに対して風評被害はマスコミの批評や世間の噂、曖昧な憶測で危険と決め付け、根拠なく摂取を控える一種の集団心理です。国民の健康保護の観点から、安全性に疑いのある製品は安全性が確認されるまでは、市場に流すわけにはいきません。しかし、風評被害に対しては断固として戦わなければなりません。風評被害がパニック的に拡がる理由は、消費者への情報提供不足と生産者の安全性を証明する力の欠如です。多くの消費者は、被災地の製品を恣意的に避けているわけではありません。しかし、消費者が知ることのできる情報は、放射性物質の汚染が確認されたという情報のみであり、何ミリシーベルトでどのくらいの影響が出るか、そもそも基準値はどのようにして設定されているのかを知らされていません。また、流通が発達した今日では、全国のどこでも大抵の製品を購入することができますが、一方ではその流通経路や保管方法までは詳しく分りません。このため、震災前に獲れ、汚染の可能性の全くない冷凍庫で保管していたシラスが三陸沖産というだけで、買い手がつかず廃棄せざるを得ないというような事態が起こるのです。今回の震災では、このような事態が至るところで見られました。震災そのものの直接的な被害に加えてこのような風評被害がさらに復興する活力を妨げていると言えます。
≫ つづく ≪
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